ストーリーに基づいて思いを伝え、ビジョンをチームと追求する方法

ストーリーに基づいて思いを伝え、ビジョンをチームと追求する方法をポール・スミスの本「Read with a Story:リード・ウィズ・ア・ストーリー」を参考に私の経験を入れ、紹介します。

ビジネスに成功するには、チーム員の心に響き、行動や態度を変えることができるためのストーリーを立て、自分の考えや思い、目標を伝えることが重要です。いまさら言うまでもないといわれそうな気がします。

ストーリーをつくればいいのか

どのようにしてストーリーをつくればいいのか、そしてどのようにストーリーを使ってリーダーシップを発揮するのでしょうか?

 

ステップ順に説明します。

1. ストーリーの目的を明確にする。何を伝えたいのか、どんな反応や行動を期待しているのかを考えます。

ストーリーにストーリーの目的を明確にする。何を伝えたいのか、どんな反応や行動を期待しているのかを文章にするには、どうすればいいでしょうか?ここでは、あとの2.3.4とかぶりますが、ストーリーの目的を明確にするための3つのステップを紹介します。

1-1:ストーリーのテーマを決める

ストーリーのテーマとは、ストーリーが伝えたいメッセージや価値観です。例えば、「友情は大切だ」「夢をあきらめないで」「自分らしく生きる」などがテーマになり、テーマを決めることで、ストーリーの目的がはっきりします。テーマは短文の一言で表せるようにする。

1-2:ストーリーの主人公と対立するものを設定する

ストーリーの主人公とは、ストーリーの中心となるキャラクターです。主人公は、テーマに関連する問題や課題に直面します。例えば、「友情は大切だ」というテーマなら、主人公は友達と喧嘩したり、裏切られたりするかもしれません。ストーリーの対立とは、主人公が問題や課題を解決するためにチャレンジしなければならないもので、対立は、人間関係や環境、自分自身など様々な形で現れます。対立は、テーマに沿ったものにする。

1-3:ストーリーの展開と結末を考える

ストーリーの展開とは、主人公が対立に立ち向かっていく過程です。展開は、主人公が成長したり変化したりすることで、テーマが強調されます。
例えば、「友情は大切だ」というテーマなら、主人公は友達と仲直りしたり、新しい友達を作ったりするかもしれません。ストーリーの結末とは、主人公が対立を解決するかどうかを決める場面です。結末では、主人公がテーマに対してどう思うかが明らかになります。結末は、読者に感動や共感を与えるようにしましょう。

以上が、ストーリーの目的を明確にするための3つのステップです。これらのステップを踏むことで、ストーリーは伝わりやすく興味のあるものとなるでしょう。

2. ストーリーの構造を作る。始まり、中盤、結末の3部構成で、登場人物や場面、問題や解決策などを設定します。

はじまり、中盤、結末を起・承・転・結で書くにはどうすればいいでしょうか?まず起承転結の構成とそのメリットについて説明し、実際のプレゼンの例を紹介します。起承転結とは、文章や話の展開を「起こす」「承ける」「転じる」「結ぶ」という四つの段階に分ける方法で、起承転結でプレゼンすると、聞き手にわかりやすく伝えることができます。各段階について見ましょう。

【起】
起は、プレゼンのテーマや目的を明確にし、聞き手の関心を引くために、問題提起や背景説明などを行います。
例えば、「今日は、起承転結の文章の書き方についてお話しします。皆さんは、プレゼンやレポートなどで文章を書くことがありますよね。でも、文章が長くなると、どうしてもまとまりがなくなったり、伝えたいことが伝わらなかったりすることがありませんか?そんな時に役立つのが、起承転結の構成法です。」というような導入。

【承】
承は、起で提起したテーマや問題に対して、具体的な内容や根拠を示す段階です。聞き手の理解を深めるために、データや事例などを用いて説明します。
例えば、「起承転結の構成法とは、文章や話の展開を四つの段階に分ける方法です。この方法は、古典文学や演劇などで古くから使われており、現代でもビジネスや教育などで広く活用されています。起承転結で文章を書くと、次のようなメリットがあります。一つ目は、文章の流れが明確になります。二つ目は、聞き手の興味や感情を引き出せます。三つ目は、主張や結論が強調されます。」との説明。

【転】
転は、承で示した内容に対して、反論や異論を提示したり、視点や角度を変えたりする段階です。聞き手の関心を維持するために、驚きや疑問などを生み出します。
例えば、「しかし、起承転結で文章を書くことには、注意する点もあります。一つ目は、四つの段階にあまり固執しすぎないことです。文章の内容や目的に応じて、柔軟に構成を変え、変えたら元に戻ることが必要です。二つ目は、各段階の長さや重要度をバランスよく配分することです。特に結びは短くても問題はありませんが、始めはしっかりと時間をかけて聞き手を引き込み維持することが大切です。」というような反論や注意点を入れる。

【結】
結は、プレゼンのまとめや結論を述べる段階です。聞き手に印象や感想を残すために、要点の繰り返しや感謝の言葉などを用います。
例えば、「今日は、起承転結の文章の書き方についてお話ししました。起承転結で文章を書くと、聞き手にわかりやすく伝えることができます。しかし、四つの段階に固執しすぎないことや、各段階のバランスを考えることも大切です。何か質問はありませんか?文章を書く際には、起承転結の構成法を参考にしてください。最後までありがとうございました。」というようなまとめです。

起承転結を使って、自分の文章や話をより効果的に伝えましょう。

3. ストーリーに感情や感覚を加える。聞き手がストーリーに入り込めるように、感情や感覚を表現する言葉や表現を使います。

ストーリーに感情や感覚を加える方法には、いくつかのポイントがあります。まず、登場人物の内面や感情を描写することで、聞き手、読み手に共感や感情移入を促すことができます。
例えば、「彼は悲しみに打ちひしがれた。」という文章よりも、「彼は目を閉じて、涙が頬をつたうのを感じた。胸が締め付けられるような苦しみに、声も出なかった。」という文章の方が、聞き手、読み手は彼の悲しみをより強く感じるでしょう。
次に、ストーリーの場面や状況を具体的に描写することで、聞き手、読み手に感覚的なイメージを与えることができます。
例えば、「彼女は森の中を歩いた。」という文章よりも、「彼女は木々の間から差し込む日差しに目を細めた。足元には落ち葉や枯れ枝が散らばり、カサカサと音を立てた。空気は清涼で、深呼吸すると森の香りが鼻に抜けた。」という文章の方が、彼女の歩いている森の中をより鮮やかに想像できるでしょう。

最後に、ストーリーの展開や結末にサプライズや驚きを加えることで、感動や興奮を与えることができます。
例えば、「彼は彼女にプロポーズした。」という文章よりも、「彼は彼女に指輪を渡した。それは彼がずいぶん前からいつ彼女に渡すかと長い間この機会のために購入していたものだった。彼女はとっさに、彼の手を握った。」という文章の方が、愛情や運命をより深く感じるでしょう。

以上のように、起承転結の文章にストーリーに感情や感覚を加える方法には、登場人物の内面や感情を描写すること、ストーリーの場面や状況を具体的に描写すること、ストーリーの展開や結末にサプライズや驚きを加えることがあります。これらのポイントを意識して書くことで、読者に感動や興奮を与えるストーリーを作ることができるでしょう。

4. ストーリーに教訓やメッセージを付け加える。ストーリーの意味や目的を強調するために、教訓やメッセージを明確に伝えます。

私は、この本を読んでから、自分の仕事やプライベートでストーリーを使ってコミュニケーションするように心がけています。例えば、新しいプロジェクトを始めるときには、自分がこのプロジェクトに参加した理由や目標をストーリーで説明します。それによって、チームメンバーとの信頼関係が深まり、一体感が生まれます。また、クライアントや上司に報告するときには、成果だけでなく、過程や困難や工夫などもストーリーで伝えます。それによって、聞き手の理解や共感が得られやすくなります。

教訓やメッセージを付け加える方法について説明します。ここは起承転結の4区分を3つの構成の3区分の序論(起)・本論(承・転)・結論(結)に分けること追記しておきます。ストーリーを書くときにも、3区分も参考にしてください。
では、具体的にどうやって起承転結の文章にストーリーに教訓やメッセージを付け加えるのでしょうか?それでは、私が実際に考えた短いストーリーを見てみましょう。

「ある日、森の中で迷子になった男の子がいました。彼はどこへ行っても同じような景色ばかりで、出口が見つかりませんでした。なんかネットフリックスのベーカー街探偵団が浮かんできます。そこへ、一匹の狼が現れました。男の子は恐怖におののきましたが、狼は優しく声をかけました。「大丈夫だよ。僕が出口まで連れて行ってあげる。」男の子は狼を信じてついて行きました。しかし、狼は男の子をだまして自分の巣穴へと連れて行きました。そこで狼は男の子に言いました。「ごめんね。僕はお腹がすいていたんだ。君は僕のごちそうだよ。」男の子は泣き叫びましたが、もう遅かった。」

このストーリーは、起承転結の法則に従っています。短い文章ですが、起では、主人公と状況を紹介、承では、問題や課題を提示し、転では、問題や課題に対する解決策や展開を示しますが、結では、結末や結果を述べています。このストーリーでは、起が「森の中で迷子になった男の子」、承が「一匹の狼が現れた」、転が「狼が出口まで連れて行ってあげると言った」、結が「狼が男の子を食べた」となります。

では、このストーリーに教訓やメッセージを付け加えるにはどうすればいい?一つの方法は、結末に対する主人公や読者の感想や反省を書くことです。例えば、「男の子は自分が狼に騙されたことを悔やみました。彼はもっと注意深くならなければいけないと思い、見知らぬ人について行ってはいけないという教訓を身につけた。」というような文章です。これは、ストーリーに対する評価や意味づけを与えることで、教訓やメッセージを強調する効果があります。

もう一つの方法は、ストーリーの最後に一言コメントや格言を付け加える方法もあります。
例えば、「狼は羊の皮をかぶっても本性を隠せない」というようなメッセージです。これは、ストーリーに対する解釈や教訓を簡潔に表現することで、教訓やメッセージを印象付ける効果があります。

以上のように、起承転結の文章にストーリーに教訓やメッセージを付け加える方法はいくつかあります。自分の書きたい内容や目的に合わせて、適切な方法を選んでみてください。ストーリーを書くのは難しいかもしれませんが、楽しみながら挑戦してみましょう!

 

 

 

 

 

事例を一つ挙げます。

 

ある会社で、OSHA のProcess Safety Management Systemの構築プロジェクトのキックオフで使った事例を紹介します。

「私は、ある自動車工場で製造部の安全管理を含む管理責任者をしていました。工場では、危険な化学物質を扱っていたので、常に安全に注意していました。しかし、ある日、隣の工場で爆発事故が起きました。幸いにも死傷者は出ませんでしたが、何が爆発したのかと衝撃を受けました。もし、私の工場で同じような事故が起きたらどうなるのだろうと。すぐに調べてみると、アメリカOSHA がProcess Safety Managementという仕組みを提唱していることを知りました。これは、危険源の発見・特定、機械設備の安全設計、リスクアセスメント、安全教育、緊急時避難計画、化学物質取り扱いなどに関するさまざまなプロセスを管理することで、事故のリスクを低減するというものです。私はこの仕組みに興味を持ちましたが、実際に導入するには多くの課題がありました。例えば、コストや時間の問題や、従業員の抵抗感や不安感などです。しかし、私はこの仕組みは私たちの工場にとってこれから必要だと確信しました。」

そこで、私はさらに、自分のビジョンをストーリーで伝えることにしました。

「私は子供のころから自動車が好きでした。いろいろな実験をするときにエンジンの燃焼で色や形が変わるのを見ると、不思議でワクワクしました。そして、自動車に関連した技術は人々の暮らしに役立つことも知りました。例えば、エンジン単体を発電機として使う、やタイヤは野球のバッティングに使える、椅子はリクライニングするので勉強部屋で使える、そんなことに魅力を感じて、この仕事を選びました。しかし、自動車には危険な面もあります。ガソリンが漏れたり燃えたり爆発したりすると、人の命や環境に大きな被害がでる。私たちはそんなリスクを知りながら働いていますが、それでも車をつくる工程のプレス機械の挟まれ、溶接工程のコンベヤに巻き込まれなど事故は起こります。私はそれを防ぎたいと思っています。人命を守るためにシステマチックに設計から廃棄までの安全を確保のためのいい資料はないかと探しました。当時は知りたいことを検索し、資料を入手することは非常に時間がかかることでした。今は簡単にサイトから入手できるので、OSHA のProcess Safety Managementの仕組み構築の支援をと思っています。私たちの工場を安全にするだけでなく、品質や生産性も向上させる効果があります。この仕組みが工場の未来だと信じます。一緒にこの仕組を実現しましょう」

リーダーとして、仕事への情熱や人命への尊重を伝えることで、プロジェクトチームに感動や共感を与え、プロジェクト目標をストーリーで表現し、チームに理解や納得を促すことが必要です。

ストーリーは、リーダーとして自分の思いやビジョンをチームと共有し、追求するための強力なツールです。

 

まとめ

ストーリーの参考に、昔、昔あるところに、を紹介します。

ストーリーは、おばあさんとおじいさんは小さな家に住んでいました。おばあさんとおじいさんは、とても仲良しでしたが、子どもがいませんでした。ある日、おばあさんは川へ洗濯に行きました。すると、川に浮かんでいる大きな桃を見つけました。おばあさんは桃を拾って家に持ち帰りました。

「おじいさん、おじいさん、見てください。こんなに大きな桃を見つけましたよ。」

「すごいね、おばあさん。これは珍しい。さあ、切って食べよう。」

おじいさんが包丁で桃を切ろうとしたとき、桃の中から赤ちゃんの声が聞こえました。

「やめてください、やめてください。痛いですよ。」

おじいさんとおばあさんはびっくりして桃を開けると、中から元気な男の子が飛び出してきました。

「こんにちは、こんにちは、私は桃太郎です。」

「えっ?桃太郎?どうして桃の中にいたの?」

「私は天から送られた子どもです。あなたたちの子どもになってあげます。」

「本当かい?それは嬉しいね。ありがとう、桃太郎。」

おじいさんとおばあさんは喜んで桃太郎を抱きしめました。そして、桃太郎はおばあさんとおじいさんの大切な子どもになりました。

桃太郎はすくすくと育って、やがて強くて勇敢な青年になりました。しかし、桃太郎には悩みがありました。それは、近くの島に住む鬼たちが村人たちを苦しめていることでした。

「おばあさん、おじいさん、私は鬼退治に行きます。」

「鬼退治?危ないよ、桃太郎。」

「大丈夫です。私は天から送られた子どもですから。鬼なんか怖くありません。」

「そうかい。それなら気を付けて行ってらっしゃい。」

「はい。では行ってきます。」

桃太郎は鬼退治に出発しました。途中で出会った犬、猿、キジに餅を分け与えて仲間にしました。

「よし、みんなで力を合わせて鬼をやっつけよう!」

「わんわん!」

「きゃーきゃー!」

「コケコッコー!」

桃太郎たちは元気よく島へ向かいました。

島に着くと、そこには鬼たちが沢山いました。

「ほらほら、人間が来たぞ!美味しそうだな!」

「やったな!久しぶりのごちそうだ!」

桃太郎は犬、猿、キジと一緒に鬼たちに立ち向かいました。

「わんわん!噛みつくぞ!」

「きゃーきゃー!引っ掻くぞ!」

「コケコッコー!突っつくぞ!」

「うわあああ!痛い!痛い!」

鬼たちは桃太郎たちの攻撃に耐えられませんでした。そして、鬼の王が現れました。

「なんだ、この騒ぎは?お前たち、何者だ?」

「私は桃太郎です。お前たちは村人たちを苦しめてきたな。今日はお前たちを許さないぞ。」

「ふん、桃太郎だと?笑わせるな。お前なんかに負けるものか。かかってこい!」

鬼の王は桃太郎に向かって飛びかかりました。しかし、桃太郎は鬼の王の攻撃をかわして、一撃で倒しました。

「やった!鬼の王を倒したぞ!」

「わんわん!すごいぞ、桃太郎!」

「きゃーきゃー!やったね、桃太郎!」

「コケコッコー!勝ったぞ、桃太郎!」

桃太郎は鬼の王の首を取って、鬼たちに言いました。

「お前たちは二度と村人たちを苦しめるな。もしまた悪さをしたら、私が来てお前たちを皆殺しにするぞ。」

「はいはい、分かりました。もう悪さはしません。許してください。」

鬼たちは恐れおののいて、桃太郎に頭を下げました。

桃太郎は鬼たちから奪われた宝物を持って、村に帰りました。

「おばあさん、おじいさん、ただいま帰りました。鬼退治に成功しましたよ。」

「おかえりなさい、桃太郎。よくやったね。私たちはとても誇りに思うよ。」

「ありがとう、おばあさん、おじいさん。これからも私はあなたたちの子どもでいられますか?」

「もちろんだよ。私たちはいつまでもあなたを愛していますよ。」

おじいさんとおばあさんは桃太郎を抱きしめました。そして、桃太郎は幸せに暮らしましたとさ。

めでたしめでたし。

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