ISO OHSMS の” 文化”とJames Reasonの安全”文化”

ISO OHSMS の” 文化”とJames Reasonの安全”文化”

” 文化”について、

safety management system

safety management system

 

本稿は、

  • Managing the risks of ”組織事故”organizational accidents (1997) James Reasonは、人間と組織の原因に基づく大規模な事故を予防する包括的なアプローチを提唱し、多くの異なるドメインに適用できる一般的な原則と管理技術が必要であると主張しています。原子力発電所、油田探査、製造、生産会社、化学プロセス、設備業、航空、海上、鉄道が含まれます。

ジェームス.リーズンのWikipedia:
出版物は参考になります。

  • Human error (1990)
  • Managing the risks of organizational accidents (1997)
  • Managing Maintenance Error: A Practical Guide (2003)
  • The Human Contribution: Unsafe Acts, Accidents and Heroic Recoveries (2008)

ISO OHSMS規程の随所に現れる” 文化”は定義されていません。

そこで文化をJames Reasonの安全文化に置き換え安全文化の3要素を紹介します。

今必要なことは組織の安全文化をつくるリエンジニアリングをすること。

組織事故は、その影響が個人レベルにとどまらず組織全体あるいは社会に及ぶ事故のことである。 例,「チェルノブイリ原子力発電所事故」「スペースシャトル·チャレンジャー号の悲劇」などの事故や事件は組織事故である。最近起きているトヨタグループの品質に関する違反、製鉄会社の汚水垂れ流し、火災事故、電機機器製造会社の品質の違反、これらは,組織内部に潜む欠陥が,知らず知らずのうちに拡大して発生したものである。 惨事の発生を事前にくいとめるには,事前にその兆候を突きとめ,是正するためのシステムをつくり上げなければならない。またシステムをうまく機能させるためには、まず組織内に品質文化、安全文化を築き、さらに浸透させることが必要となります。

ここは、ヒューマンエラーの権威であるJames Reasonの思想により安全文化システムの構築に向け、実践的なアプローチのさわりの紹介をし、ここは今だからこそリエンジニアリングすべき、ヒントを紹介します

1.学習する文化:
辺在している知識を連続的に広汎なシステムの改良をし再発防止(reactive)および予防的(proactive)対策の双方に利用できるシステムを構築して常に学習する文化が組織にある。
2.報告する文化:
人々がすすんでエラーやニアミスを告白できる報告の文化が組織にある。そしてお互いに信頼できる雰囲気で報告する文化が組織にある。情報に立脚した文化は醸成され続けている。
3.正義の文化:
信頼の文化:情報に立脚した文化は, 合意された正義の文化であり, 非難すべきでない行為と処罰すべき行為の区別をはっきりさせる文化が組織にある。

安全の文化は,情報に立脚した文化(informed culture)であり、転ばぬ先の危機(edge) が、どこにあるか知ることである.
事故が起きる産業界ではそれほど簡単な仕事ではない、とJemes Reason

安全文化(safety culture)

安全文化はおそらく誰もが口にする言葉であるまた聞いたことがあると思います。その正確な意味,あるいはどのように安全文化を測るかについては, いまだに合意が得られていないが、安全意識調査(safety perception survey)を使い測定することもできます。

安全文化は社会科学の文献には, 非常に多くの定義が与えられている。その定義はとりたてて理解の助けにならないが安全文化は2つの部分に分けられる。

一つ目は 安全業務に関する組織の構成員の思想、信念, 態度,価値観、
二つ目は、組織の財産,資産、所有物である理念、方針、そこからさきの運用時の具体的な内部組織構造、慣習、管理や規則。

安全文化の包括的な定義を求める無駄な努力をすることよりも、以下に述べる安全の文化(safe culture)の重要な側面を見てみることで十分であろう。

安全文化とは「現実の営利的な圧力」あるいは「誰が経営トップ」とは無関係に、” 最高の安全を目標”を達成するために組織を駆り立るエンジンである。それが安全文化である。

そうは言うが、

最高経営責任者(CEO)や直属スタッフがコミットすることが必要

コミットメントは, 会社の安全に対する価値および慣習に強い影響力を行使する。経営トップは交替するものであり真の安全文化というものはトップが交替してもそれに屈せず、しぶとく生き残るのが文化、エンジンであり、それが安全文化である。

組織構成員、社員、従業員の人間の失敗、人間のエラーや設備故障など安全文化は常に運用にともなう潜在的リスク (hazard)の大きさを評価し、人間の失敗、人間のエラーや設備故障などを予測し事故災害を未然防止すること。

そして安全文化は故障や失敗を受け容れ、事故災害を未然防止する防護策や起きたことに対処する緊急非常手段を自然体で柔軟を利かせ築かせ、働かせる用心深さの集合体ということもできます。言い換えれば、ものごとが悪い方向に行く可能性のあるものに対しての注意深さの集合体(collective mindfulness)が安全文化である。

以下は2021年の内容です、2年を経ているが、進歩はすくなく後退を感じます。リエンジニアリングすべきです。

リエンジニアリングは、既存のシステムやプロセスを分析から始めます。

既存のシステムやプロセスを分析し、その構造や機能を再設計することで、性能や品質を向上させる技術です。リエンジニアリングは、ソフトウェア開発や製造業などの分野で広く用いられています。

リエンジニアリングの歴史は1950年代にコンピュータのハードウェアやソフトウェアの改良に使われていました。そしてリエンジニアリングという用語は一般には、1990年代に入って知られるようになり、ビジネスプロセスの効率化や競争力の強化を目的として、多くの企業がリエンジニアリングに取り組みました。マイケル・ハマーとジェームズ・チャンピーが1993年に出版した『ビジネス・プロセス・リエンジニアリング』という本が、リエンジニアリングの概念や方法論を広めるきっかけとなりました。

リエンジニアリングの目的は、

システムやプロセスの問題点を特定し、根本的な改善を行います。リエンジニアリングは、既存のシステムやプロセスを単に修正するのではなく、目的や要件を再定義し、最適な設計や実装を行います。結果、コストや時間の削減、品質や顧客満足度の向上、イノベーションや競争力のアップなどの効果が期待できます。

手順で以下です。

1. リエンジニアリングの対象となるシステムやプロセスを選択する。
2. システムやプロセスの現状を分析し、問題点や改善点を明らかにする。
3. システムやプロセスの目的や要件を再定義し、新しい設計案を作成する。
4. 新しい設計案を実装し、テストや評価を行う。
5. 実装したシステムやプロセスを運用し、継続的な改善を行う。

リエンジニアリングは、多くのメリットがありますが、

安全管理システムのリエンジニアリングの課題

例えば、リエンジニアリングには多くの時間やコストを必要とします。既存のシステムやプロセスに慣れている人々にとって一般的に、仕組みが変化することへの抵抗感や不安感があります。さらに、新しいシステムやプロセスが期待通りに機能するかどうかは保証されません。したがって、安全管理システムのリエンジニアリングは、その必要性や目的を明確にし、関係者のコミュニケーションや協力をする場を作り、確保し、適切な計画や管理を行うことが重要です。

安全文化構築を成功させるために、安全文化構築のための反対理由はあるか

お仕着せの変革に、人は抵抗するが、変革自体そのものには抵抗しません。「安全文化構築へのアプローチは、教育と強制される教育が組み合わせたものになっていませんか? 計画がうまくいかないのは社員にとって、その計画は自分達から言い出したものではなく外から与えられたものなのです。社員当事者の意見になっていますか。実際に関わらない社内の人たちの意見がおおくなりがちになっていませんか?

安全管理システム リエンジニアリングによる安全文化構築成功させるヒント


徹底的にコミュニケーションを図りバイアスを取り除く。

bias

bias and elephant


リーダーのいいたいことを完璧に社員全員に伝えることはむつかしい、経験的に変革が失敗する理由はコミュニケーションの問題です。それらは不適切なコミュニケーション、コミュニケーションの不足、コミュニケーションが双方向になっていない。
あるいは3つとも全部うまくいっていない。

ヒント:効果的にコミュニケーションする

この点については、ジョン·コッターの「効果的に伝えるコミュニケーション、7つの原則」最後部の表をごらんください。よい例、悪い例は参考になります。

ヒント: トップを含む結束の固い支援チームを編成する

トップは自分の意見、分析を話すことはいいが、変革には人の意見や分析が必要です。変革に付きものの落とし穴を回避することができます。変革の成功には支援チームが必要です。トップはSPONSOR です、SPONSORとしてビジョンを表明し、掲示するだけでなく大勢の人とのコミュニケーションを図り、ビジョンを成功させるコミュニケーションから得た障害を取り除き、ビジョン展開ごとの支援をし、リエンジニアリング・プロジェクトチームと一緒に組織の中に新しい安全文化を構築する支援をする。そして計画をバックアップしてくれる役員、ライン管理者、若手社員、職場の社員たちが、率先して活動をするための経営資源の応援、支援をすることが必要です。

ヒント: 現場に出るときは思い・考えのベクトルをあわせ現場に出る

安全文化構築を推し進めるには権限ある熱心な人が集まって変革の方向性に一致した思い・考えのベクトルをあわせて現場に出ていること。文化構築をする際に、経営陣をSPONSORとする制度、仕組みを作ること。もし可能ならば、経営陣全体をSPONSORとし後ろ盾にすること。

ヒント: 自分の考えには反対しない環境を作る

何をどう変えるかを決めるプロセスに参加した人たちは変革に参加し、協働する傾向は十分あります。さらにそのプロセスに参加した人は自分自身も変わっていきます。組織のビジョンについて意思決定に携わった人は、新しい見方で安全文化ビジョンのことを考え、意見があればはっきりと発言し、チーム内の課題や問題を処理し、管理者と議論し、同僚とコミュニケーションをし、前向きにポジティブに変革していきます。(安全活動に全員参加で取り組んでいる様子はフィールド調査で拝見しました)ここに紹介しているヒントを参考にさらに全員参加を進めてください。そして全社員参画によりゴールに向かって、何を、いつ、どこで、どのようなやり方で進めるのがいいか、すべきかについてベクトル合わせへの提案をもらうことです。

多くの社員は安全文化を継続的に持続させる企画・計画に関与していない、また関与させていない。大きな弱点になっていないか?


ナゼ!社の理念、方針の認知度が低いのか?

safety management system

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認知度を上げるためには工場の機械を止め、事務作業を止め、バーチャル時空間大会議場を使い、トップから現場の社員まで、全社員が仕事からはなれ、安全文化構築に、「一人残らず」参加する、時空間で話し合うこと。以下はヒントです。

ヒント:リアルタイムのバーチャル時空間ミーティング

共通の安全ビジョンを確立する、そこまでの課題を発見する、ビジョン探求ミーティングに、何百人の人が同時にバーチャル時空間大会議場に参加し、安全文化構築の意思決定に参加する。組織システムの全体が一つの部屋(時空間)に足を運び、その都度、絞り込んだ議題に取り組む。

【1】より多くの情報を広めることができる。
バーチャル時空間会議では、小さなチームよりもはるかに多くの情報源から情報を入手できる。組織の全員、もしくは、ほぼ全員が同時に情報を提供すれば、正しい決断を下せる確率が高くなる。
【2】賛同し、参加度合いが高まる。
少人数のグループでは、経営層に伝え難い。報告の負担が大きくなる。バーチャル時空間会議では一気に賛同し、専念し、当事者意識が生まれる可能性が高まる。
【3】各部署間の調整が少なくなり、大きく早く進む
部署間の調整が必要な取り組み方は、常に一定の順序で少しずつしか進まない。組織の各部門がそれぞれ異なる時期ではなく同時期に進むので、調整は減り、組織、経営にとって調整は大きな悩みとならない、また部署間の衝突は少なくなる。
【4】日常仕事の本質的な一部として安全文化構築が取り入れられる。
文化構築活動は現場にとって、どの部署も取り組んでいるから心身的に日常の仕事をかき乱すものではなくなる。バーチャル時空間ミーティング(会議、イベント)に参加すると、日常仕事の一部となり、文化構築活動は日常の仕事とつなげて考えられるようになる。
【5】文化構築がもっと早く起こる。
バーチャル時空間ミーティング(会議、イベント)により、あの部署は進んでいるようだ、それに比べうちはまだまだだと、今すぐ何かやらなければならないというプレッシャーを感じ、プロセスのペースがアップする。バーチャル会議は、実務的に自分たちが今すぐ何をすべきかを理解しているので、物事は速いペースで行われる。
【6】即座に、良好成果が生まれる。
「ビジョン探求ミーティング」により、いたるところで活動が展開されるため、組織にとって重要な成果が早期に表れやすい。通常の文化構築の取り組みは、小さい部署は実質的に活動すべきか、部署を限定せず組織全体にすべきかなど、活動部署の選択が迫られることがあるが、社員の安全探求、ケガのない職場の探求に選択の余地は必要ありません。

ヒントを使えば、ミーティングの機会が増え、全員、全部門が参加するコミュニケーションの場により、安全文化構築のベクトル(大きさと向き、速度や力)一致を祝福することができる。

以下参考:ジョンP.コッター 効果的に伝えるコミュニケーション、7つの原則

原則 内容
話は単純明快に  的を絞り、専門用語を用いない。大勢の人々にわかりやすく、かつ簡潔に物事を伝えることができる。
悪い例 「われわれの目標は、パラメーターの修復に要する平均時間を短縮し、その值を内外の競争相手よりも小さくすることである。同時にわれわれは、新製品開発に要するサイクル·タイム、受注処理時間、その他顧客に関わるプロセスを改善することも目指している」

良い例 「顧客のニーズを満足させるため、同じ業界のどこよりも業務を迅速にこなそう」

比喻や類比、例を使う(メタファー、アナロジー) 悪い例   「われわれは規模の経済がもたらす優位性を保持するとともに、競争の激しい、厳しい事業環境において顧客を維持、獲得するために、官僚主義的体質を排し意思決定をより迅速化しなければならない」

良い例 「われわれはゾウではなく、顧客にやさしいティラノザウルスであるべきです」

様々な情報交換の場を多用する 「大規模な会議、社内メモ、社内報、ポスター、普段の一対一のコミュニケーション、会話など、樣々媒体を駆使することで、ビジョンや思いは効果的に伝わるものである。同じメッセージが、四方八方から届けば、人々の耳に入る機会も増え、記憶に残りやすくなる」
ひたすら繰り返す 「大々的な変革が成功したケースは、必ず何万回というコミュニケーションが図られている。コミュニケーションを繰り返すことよって、従業員は理解し納得に時間がかかる、難しい問題を十分に把握できるようになる。ここにメッセージ文、あちらにメッセージと、会議の初めに1分、途中で2分、あるいは会話の終わりに1分間ほどその話題を取り上げ、スピーチの中でもたびたび簡単に触れる。こうした短いメッセージの積み重ねが、有効なコミュニケーションとして機能するのである。從業員と完全に同一体を目指すのであればこうした方法が必要。」
いったことを行動に移し、模範を示すことによりリードする

 

悪い例 「事業部長は、1200名の従業員にスピードアップの重要性を力說し、迅速さを事業部の売り物にしようと訴えた。ところが、あるプロダクト·マネージャーの予算申請書願いの承認に9カ月もかけて、新規市場における最も魅力ある部分を競合他社に奪われてしまった」
良い例 「ある航空会社では、顧客サービスを中心テーマに据えて新たな変革に取り組んでいる。社長は顧客から苦情の手紙を受け取ると、必ず48時間以内に自ら返事を出すことにしていた。やがて、社長の手紙の物語は社内中に知れ渡ることになった」
見るからに矛盾することは、はっきりと指摘する

 

悪い例  「削減を掲げ、社員が苦境にあえぐときに、経営トップはジェット機をチャーターし、事務所は相変わらず豪華なままだ。」
良い例 「ジェット機、豪華な事務所など、余分なものを売却する。売却しない場合は、少なくとも、この時期にこうした贅沢な部分を売却しても意味がないことを說明する。」
聞く耳を持ち、

話を聞いて

もらう

 

悪い例 「販売部が使用するための新しいハードウェアとソフトウェアの購入に関する基本コンセプトを説明しておけば、コンピュータに詳しい若い販売員なら、その基本コンセプトの欠点をすぐに気づいていたはずだ。しかし、実際には新しい装置の到着までに、說明会を一度も準備しなかったから、しその後、軌道修正は高くついた」

良い例  「双方向の議論を何度も行う。ほとんどの教養のある人は、議論し合う機会さえあれば、自分から積極的にその機会に飛び込む。議論をし、質問し、異議を唱え、とことん話しあい事前に解決する」

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